ソーシャルスキルトレーニング実例集⑥「負けや失敗を受け入れる」
今回は、ソーシャルスキルトレーニングの実例⑥を紹介していきます。
今日紹介するソーシャルスキルトレーニングは、負けや失敗を受け入れるトレーニングになります。負けを受け入れ、悔しい気持ちをうまく処理できるようになると、友だちと仲良く勝ち負けのあるゲームを楽しむことができるようになります。
負けや失敗を受け入れられない原因と対策
発達障害を持っている子どもは、感情のコントロールが苦手で、ゲームなどで負けると悔しさから人やものに当たったり、負けることが嫌で負けることが分かるとゲームを途中で放棄したりすることがあります。
また、自分や他人の失敗に対して過度に落ち込んだり怒ったり、時にはパニックを起こしてしまうこともあります。こういったこれらの行動は、「負けや失敗を受け入れられない」ことが原因で起こっています。
では、どうして負けや失敗を受け入れることができないのでしょうか?その原因は、「経験不足」と「感情コントロールの苦手さ」があげられます。
発達障害を持っていて負けや失敗を受け入れることができない子どもは、
負け=悪
という価値観の中で生きています。一度でも負けてしまったら、もう終わりだ・・・と悲観し、負けたら終わりなのです。しかし、現実は違います。一度負けたとしても、次のゲームでは勝つかもしれませんし、負けを受け入れることができれば次につながります。
「負けちゃったけど、その次は勝てて嬉しかった」という経験を積み重ねることで、「勝ち負けがあるからこそ面白い」といった価値観を持つことができれば、楽しくゲームに参加できるようになるでしょう。
「感情コントロールの苦手さ」は、発達障害の特徴としてあげられることが多いです。感情を抑えることができずにパニックになってしまったり、暴言暴力に走ってしまったりします。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ソーシャルスキルトレーニング:負けや失敗を受け入れる
「負けや失敗を受け入れる」ためには、感情コントロールを行い、気持ちの切り替えをして、次の行動やゲームに気持ちを向けることが大切です。
ゲームをはじめる前に、トランプで負けてしまった子どもがカードを投げたり、ゲーム途中にぐちゃぐちゃにしてしまうような寸劇を見せることで、より具体的にその状況をイメージすることができるので効果的です。また、負けたときにしてもいいことと、してはいけないことを確認しましょう。
①「ま、いっか」じゃんけん
「みんなで楽しく遊ぶ」という目標を共通理解し、「負けても怒ると楽しくない」「悔しい気持ちはあるけど、『ま、いっか』ができるといい」ことを理解させます。
- 「どーんじゃんけん」のコースを作る
- 2チームに分かれ、両端からスタートし、二人が出会ったところで両手をタッチし、「じゃんけんぽん!」でじゃんけんする
- 勝った方はそのまま進み、負けた方は「ま、いっか」と審判(各チームのスタート地点に一人ずつ立つ)に聞こえるように言う
- 審判は、「ま、いっか」が聞こえたらゲートを開き、次の人をスタートさせる
②「負けた〜次頑張ろう!」ポイント
どんなゲームでもいいのですが、勝ったら1ポイント、負けても「負けた〜でも次頑張ろう!」と言うことができたら、負けた側も1ポイントが加算されるというシステムです。
始めは、気持ちが追いつかず、イライラしながら「負けた〜次頑張ろう」と言葉だけの言い方で言うかもしれませんが、それを言うことでポイントは引き分けになり、その後もゲームが続くことになります。ゲームが続くと、「一度負けても次のゲームでは勝てる」「負け=終わり」ではないことを学ぶことができます。