発達障害児のこんなときどうする!?「暴力・暴言」
発達障害児の、こんなときどうする?コーナーです。このコーナーでは、具体的なお悩みを元に、発達障害児の理解の仕方や、支援方法などをまとめていきます。
今回は、「衝動的な暴力や暴言」に対する支援方法についてです。発達障害がある子どもは、感情をコントロールすることが苦手なことが多く、カッとなると相手に対して思わず暴力や暴言が出てしまう場合があります。
このような発達障害児の暴力・暴言問題には、どのように対応していけばよいのでしょうか。
思わず暴力・暴言が出てしまう子どもへの対応
原因
発達障害を持っている子どもは感情コントロールが苦手なことが多いです。その原因として、脳の衝動性をおさえるはたらきをする部分が未発達であることがあげられます。
ささいなことがきっかけでカッとなりやすく、カッとなった時点で衝動的に手が出てしまっていることが多いようです。これは、発達障害の特徴として、実行機能の弱さと関係があると思われます。実行機能のはたらきについては、こちらの記事を参考にしてください。
また、発達障害を持っているこの中には、フラッシュバックをするケースもあります。実際に私も、衝動的に友だちをたたいてしまった子どもに「なぜ友だちをたたいのか」と尋ねると、「1週間前にその子が僕に○○といったから。」と説明されました。
フラッシュバックとは、過去に起こったことを急に思い出し、まるでそのときに戻ったようになる現象で、怒りの感情も過去に戻ってしまうようです。
クールダウンした後には、暴力や暴言が出てしまったことに対して、子ども自身「だめだった」「またやってしまった」と後悔するケースが多いことも特徴の一つです。
その場での対処法
①危険が及ばないように止める
まずは、友だちや本人がけがをしないようにするのが一番大切です。暴力が出そうになったときは間に入って制止し、必要な場合は別の部屋に連れて行くなどの対応をする。
②暴力・暴言が出てしまった理由や経緯を聞く
クールダウンした後に落ち着いた状態で、どうして暴力をふるってしまったのか、暴言が出てしまったのかの理由や経緯を聞きます。相手が悪口を言ったから、相手が先に手を出したからという場合には、相手にも注意が必要です。お互いに謝る場を持ちましょう。
③暴力・暴言はいけないことだと伝える
相手が先に嫌なことを言ってきたり、手を出してきたなどという理由があったとしても、暴力・暴言は絶対にダメだと教えましょう。
衝動性やフラッシュバックなどによって、本人も困り感を持っていることも理解してあげることも大切ですが、相手に危害を加えることがなくなるように、「暴力・暴言はダメ」だということは一貫しておくべきでしょう。
話をするときのポイント
①行為は否定しても、人格は否定しない
暴力暴言はいけないことですが、「どうしようもない子」「こんな子いらないわ」などといった人格まで否定するような叱り方は、子どもの自己肯定感を否定することになります。ダメなのは、その子の行動であり、存在ではないことをしっかりと意識して話をしましょう。
②話は簡潔に
ながながと話しても、効果はありません。分かりやすい言葉で簡潔に注意をしましょう。
③暴力・暴言事件が起こったらすぐに対応する
時間が経過してから話しても効果はありません。ワーキングメモリの弱さから行為そのものを忘れてしまっている場合があるからです。注意するときはリアルタイムで行うようにしましょう。