発達性協調運動障害とは?不器用さに悩む子どもたち
発達障害を持っている子どもたちの中には、極端に不器用な子どもがいます。
のりを使うと、手や机までベタベタ、ノートのマス目に文字が入りきらない、折り紙をすればくちゃくちゃ・・・。
これらは発達性強調運動障害の可能性があります。
今回はこの発達性協調運動障害について詳しくまとめていきます。
発達性協調運動障害とは?
1.ただの不器用・・・ではない
学校教育ではほとんどの場面で器用さが要求されます。
文字を書いたり、定規やコンパスの使用、体育や図工などでの活動、そして休憩時間の遊びにおいてまでです。
日常生活のさまざまなことは、身体を使って行っているのです。
器用・不器用というのは昔から一つの個性、個人差の範囲として考えられてきました。
しかし、極端に不器用という言葉で表される身体活動の苦手さを、米国精神医学会では「発達性協調運動障害」とされています。
「developmental cordination disorder:DCD」とも言われ、粗大運動や微細運動を必要とする動きの習得や遂行に著しい困難を示している状態と定義されています。
発生率は、2002年の研究において、5歳から11歳の年齢の子ども6%に達するとも見積もられており、決してレアなケースではないことが分かります。
2.不器用さによる具体的なつまずき
不器用さによる具体的なつまずきとしては2パターンあります。
1つ目はキャッチボールができない、縄跳びで手と足のタイミングを合わせて飛べないなどの粗大運動の問題です。
2つ目は文字を書くと枠からはみ出してしまう、はさみを使うのが苦手、折り紙をしてもくちゃくちゃになってしまうなどの巧緻動作の問題です。
3.不器用さの原因
不器用さの原因と言っても、どこに原因があるかは人それぞれです。
身体的な要因や情報処理の要因がからみあって不器用さにつながっているケースが多いので、どこに原因があるのかを見極めることも必要です。
原因の一つとして、自分の身体の位置や動きなどのボディイメージがしにくいことが原因とされています。
通常は「つま先立ちになって、両手を上げ、指先をぴーんと伸ばしましょう」と言われると、足や指先をわざわざ見なくても力を入れてその姿勢を作ることができますよね。
ところが、発達性協調運動障害を持つ子どもの場合、一つ一つの動きを確認しながらではないと、その姿勢を作ることができないケースがあります。
これは、見なくても筋肉の動きが分かる「固有覚」の働きに問題があることが分かっています。
また、自分の身体だけではなく、キャッチボールのように周りの空間やボールなどと、自分の身体の距離感を把握する「空間の知覚・認知」が苦手なケースもあります。
このように自分の身体をこう動かしたいと思って動かしているのにも関わらず、違う筋肉を働かせてしまったり、認知の時点で間違っていたりすることで、極端な不器用さにつながるのです。