ASD(自閉症スペクトラム)って何?アスペルガー症候群とは違うの?
自閉症は、1943年に、アメリカのレオ・カナーによって報告された障害です。
当初は、知的発達を伴う重度の自閉症のみが「自閉症」と定義づけられていましたが、少しずつ変わってきています。
現在、アスペルガー症候群や、高機能自閉症、広汎性発達障害、高機能広汎性発達障害、特定不能の広汎性発達障害などといろいろと呼ばれてきたものは、全て「自閉症スペクトラム障害」に含まれます。
今回は、そういったASD(自閉症スペクトラム障害)について詳しくみていきます。
ASD(自閉症スペクトラム障害)って何?
「自閉症スペクトラム障害」とは、
「社会性の障害」
「コミュニケーションの障害」
「想像力の障害」
の3つが特徴に挙げられる障害のことを言います。
4対1の割合で男児に多くみられ、3歳頃までに行動特性が目立ち始めることが多いです。
1.自閉症スペクトラム障害に至るまでの経緯
従来、自閉症は、「社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害の強さ(自閉の程度)」と「知的指数の高低(IQ)」で分類されていました。これが、1943年に、レオ・カナーによって発見された「自閉症」です。
IQが低く(〜IQ75程度)、自閉度が高いタイプを「カナータイプの自閉症(古典的自閉症)」と呼び、IQが低く自閉度が比較的軽いタイプを「自閉傾向のある知的障害」と呼んでいました。
そして、IQが高く自閉度が高いタイプを「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」「高機能広汎性発達障害」と呼び、「自閉症」とは別の障害であると分類されていました。これは、ハンス・アスペルガーが、ことばは流暢に話すことができるが、コミュニケーションや社会性、想像力に違和感のある子どもたちを発見し、後に「アスペルガー症候群」として、注目をあびます。
この時点では、二つの障害は別のものという考え方でしたが、「社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害の強さ(自閉の程度)」の部分で共通する特徴があることが分かりました。そして、これらをひとまとめにしたものが「自閉症スペクトラム障害」と考えられるようにななったのです。
2.自閉症スペクトラム障害の考え方
「スペクトラム」とは、虹のような「連続体」のことを言います。これは、「自閉症」とはいっても、程度はバラバラで、話せないほど重い自閉症から、会話もでき、社会生活もできる軽い自閉症も含め、健常者までもが一つの連続体であるという考え方です。
「ここからここまでの人は自閉症」といった分類ができないことから、このような「連続したもの」と考えられるようになりました。同じ「自閉症スペクトラム障害」でも、「社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害の強さ(自閉の程度)」の出方は様々で、十人十色なのです。