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個別学習塾・元小学校教諭・発達障害教育・二児ママの記録帳 〜人生は楽しんだもん勝ちだ〜

公立小学校の特別支援教育スタイル①〜地域によって差がある支援方法〜

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今回は、A市とB市の公立小学校の特別支援教育スタイルの違いについまとめていきます。

同じ公立小学校であるのに、地域によって特別支援教育のスタイルにこんなに差があるんですよ。

 

こちらを先に読まれた方が分かりやすいです。お時間がある方は是非♪

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A市の特別支援教育

A市の私の勤めた公立小学校は、各学年2〜3クラス、全校生徒数は約400名ほどの学校でした。その学校の、特別支援学級在籍児童数は6名、主に肢体不自由児などの身体障害時児が在籍していました。

特別支援学級在籍児童は、主に特別支援教室で、一日を過ごします。通常学級にも在籍していますが、「朝の会」や「終わりの会」なども、基本的に特別支援教室で行い、運動会や音楽会などの行事のときは、通常学級の友だちと一緒に参加します。

グレーゾーンや発達障害を疑われるような子どもは、基本的に通常学級に在籍し、特に別の教師が付くといった配慮はなかったように思います。そのような子どもたちは、クラスでの学習に付いていくことはなかなか難しく、

勉強が分からない→授業が楽しくない→授業妨害→さらに分からなくなる

といった悪循環に陥っていました。手を差し伸べても、なかなか他の皆に追いつけるところまではいかない・・・といった状況でした。

私のクラスにも、2名ほど情緒障害や、知的障害が疑われる児童もいましたが、特に発達検査を受けたり、特別支援学級への入級を考えたりといったことはありませんでした。上司に相談したこともありましたが、その児童の保護者の方は「発達障害かもしれない」という事実を前向きに捉えられないから、今はまだ様子をみていよう。という意見でした。座席を前にしたり、黒板の周りをすっきりさせたり等、学習に集中しやすくするための配慮は行っていました。

A市の小学校に勤めたのは、教諭になって初めて赴任した小学校だったのですが、今でもA市の小学校で勤めている同僚に聞くと、その状況は変わらないようです。基本的にA市の公立小学校では、発達障害を持っていてもよほどひどくない場合は通常クラスで常に学習するといったスタイルです。

 

B市の特別支援教育

B市の私の勤めた小学校は、各学年3〜4クラス、全校生徒数は約700名ほどの学校でした。その学校の、特別支援学級在籍児童数は・・・34名!!

この時点でA市の公立小学校とは全然違いますよね。

在籍児童は、情緒障害、知的障害、肢体不自由、診断名は出ていないようなグレーゾーンの児童も多数在籍しています。特別支援学級在籍児童は、主に通常学級で、一日を過ごします。A市のように、特別支援教室で一日を過ごす児童はいません。

例外として、気持ちの面で教室に行けない児童を落ち着かせるために、特別支援教室を利用する児童はいました。「朝の会」や「終わりの会」なども、基本的には通常学級で行い、運動会や音楽会等の行事も、もちろん通常学級の友だちと一緒に参加します。

では、基本的に通常学級で過ごす特別支援学級在籍の子どもたちは、いつ特別支援学級、また特別支援教室を利用するのか・・・

まずは、学力的にはクラスの友だちと大差はないが、全体への指示を聞くことが苦手、情緒面で不安定であり、感情のコントロールが苦手な児童の場合などは、「入り込み」といって、特別支援教室担任、または介助員といった特別支援教室付きの加配教員が、通常学級に入り込み、個別に声かけをすることで支援していきます。

また、学力的にクラスの友だちと同じ内容の理解が困難な児童は、「抽出」といって、特別支援教室で個別の学習を行います。個別の学習とはいえ、教師の数には限りがあるため、1人の教師が、学年、教科、またその内容の違う2〜3人の子どもたちの学習を見るといった学習形態になります。理科や社会まで「抽出」可能にしてしまうと、あまりにも教師の数が足りないので、「抽出」は国語と算数の時間に限られていました。

クラスの学習内容に付いていけない子どもたちは、分からない→授業が楽しくない→授業妨害→さらに分からなくなるといった悪循環に陥り、手を差し伸べても、なかなか他の皆に追いつけるところまではいかない・・・といった状況になってしまうとA市の場合書きましたが、「抽出」を行うと、その子に合った学習を個別で行うことができるため、そういった悪循環を断ち切り、できることが確実に増えます。

 

このように、B市では、「入り込み」と「抽出」の二つの方法から、児童に合わせて選択し、支援していくという、特別支援教育のスタイルでした。実際に、在籍児童のうち、「抽出」を行っていた児童は、34名中15名でした。それも、全員が国語、算数の両方ではなく、この子は国語は通常クラスで算数だけ抽出、この子は国語と算数両方抽出など、その子に合わせて保護者の方と相談しながら「抽出」の時間を決めていました。

また、合科の時間といって、手先を使う折り紙や製作、体を使う運動、また、友だちと関わりながら行うゲームなどを行う時間が週に2時間ありました。これも、特別支援学級在籍児童全員ではなく、手先の不器用さ、ボディイメージの弱さ、対人関係やコミュニケーション能力の弱さのある児童を中心に、参加するかしないかはを保護者の方と相談しながら決めていました。

 

さて、B市の特別支援教育はA市と比べてどうでしたか?

やり方だけを見ると、私自身B市の公立小学校の特別支援教育スタイルの方が、一人ひとりの子どもに合わせた学習を進めることができるため、いいと思っています。しかし、いくら個別に、一人一人に合った教育を・・・と進めていても、やはり大勢の子どもたちがいる小学校。問題点は山積みでした。

次回に続きます。

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