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個別学習塾・元小学校教諭・発達障害教育・二児ママの記録帳 〜人生は楽しんだもん勝ちだ〜

発達障害児が困難さを持つ「ワーキングメモリー」とは?

f:id:ka7a-mama:20170613224850j:plain 自閉症ADHDなどの発達障害を持っている子どもは、ワーキングメモリーの機能が弱く、物事を段取りよく遂行することを苦手とする子どもが多いことが分かっています。一人で宿題を終わらせることができない、目的の場所にたどり着くことができない・・・これは、ワーキングメモリーの問題かもしれません。

一体、ワーキングメモリーとは何でしょうか?今回は、ワーキングメモリーについて詳しくみていきます。

ワーキングメモリーとは?

ワーキングメモリーの定義

ワーキングメモリーとは、「作業記憶」と訳されます。作業や物事を進める場合に、それを遂行するために一時的に情報を保持しておく必要があります。こういった短期記憶のことをワーキングメモリーと言います。

通常私たちは、このワーキングメモリーを無意識のうちに働かせ、作業や課題をこなしています。また、計算や会話などの基礎となる日常生活や学習を支える大切な能力です。ところが、発達障害のある子どもは、ワーキングメモリーが弱く、様々な困難を抱えているケースが多いのです。

ワーキングメモリーの具体例

「計算ドリル→漢字練習→音読」の宿題をこなすために必要なワーキングメモリー

①自分が今、どの宿題に取り組んでいるのか、あといくつの宿題が残っているのかを意識し続けること。「あと、音読が残っているな」

②宿題に時間制限を儲けた場合、時間内に終わらせるためには、どのくらいのペースでやれば間に合うのかを意識し続けること。「もっとペースを上げて急がないと間に合わないな」

③テレビやおやつなどの誘惑がある場合、誘惑への気持ちを抑えながら、宿題に自分の気持ちを向けるよう仕向けること。「テレビを見るのは宿題が終わってから」

ワーキングメモリーがうまく働かないと?

ワーキングメモリーがうまく働かないと、様々な困難を感じることが多くなります。また、ワーキングメモリーの弱さは、実行機能の弱さにもつながってきます。この話はまた別の記事でしますね。では、先ほどの具体例を参考に見ていきましょう。

今どの宿題をしていて、残っている宿題は何なのか。ということを常に意識できていないと、宿題に取り組み続けることができません。今自分が何をしなければならないのかを意識し続けることができないために起こります。

また、テレビやおやつなどの誘惑に対しても、今は宿題を終わらせないといけないという意識が飛んでしまい、すぐに誘惑に負け、宿題が一向に終わらないといったことが起こります。声かけをしないと、すぐに別のことをし始めてしまうというのも、「今すべきこと」という意識が飛んでしまっているからなのかもしれません。

対処法は?

このような、ワーキングメモリーが弱い子どもたちへの対処法としてはいくつか挙げられます。

①作業工程をメモ書きにし、すぐに見えるところに貼っておく。

②別のところに意識がいきそうになったら、メモを見るように声かけをおこない、今何をしなければならない時間なのかを意識させる。

③できるだけ周りにおやつやテレビ、おもちゃなどの刺激物を置かない。

 

このようにワーキングメモリーの機能が弱くても、環境を整えてあげることで、物事を進めやすくなることがあります。悪気があってさぼりたいからしているわけではない。ということを理解し、どうすればその子どもにとって困り感を取り除くことができるのかを考えることが必要です。