発達障害、こんなときどうする?「順番やルールを守らない」
発達障害児の、こんなときどうする?コーナーです。このコーナーでは、具体的な悩みを元に、発達障害児の理解の仕方や、支援方法などを、シリーズものとして書き溜めていきたいと思います。
今回は「順番やルールを守れない子」に対する支援方法についてまとめていきます。友だちとの遊びの中でトラブルになることが多い順番やルール問題には、どのように対処していったらいいのでしょうか。
ルールを理解しているかの確認
そもそも、そのルールを知っているか、理解しているかの確認を行います。発達障害を持ってる場合、当たり前だと思われているルール自体を知らない、もしくは、そのルール自体は知っていても、それが具体的に何を指すことなのかを理解していないといったことがあります。
集団で遊ぶときは、事前にルールの確認をするといいでしょう。また、遊びの途中で順番ぬかしや、ルール違反をしてしまった際は、正しいルールを伝え、どうしてルールに従えなかったのかを聞き出します。ここで大切なのは、怒らずに冷静に話を聞いてあげることです。
わざとではなかったことを認める
ルールをうっかり忘れてしまった、ルールを正しく理解できていなかったなどの、ルールに従えなかった理由をきいた後は、そのわざとではなかったとこを認めてあげましょう。周りにいる子どもたちにもそのことを説明し、「間違いは誰にでもあることだ」と、当人を非難しないように気をつけます。
ルールが守れたら褒める
最初はルール違反をしてしまっていたが、あとから従うことができた時は、必ず褒めましょう。適切な行動がとれたときにきちんと評価してもらえると、やはり嬉しくなって、「もっと頑張ろう」となるのが子ども心です。子どもだけでなく、大人もそうですよね。
このように、確認→実践→評価を繰り返していくことで、適切な行動がとれるように少しずつ変わっていきます。適切な行動がとれるようになってくると、友だちと一緒に遊ぶ楽しさが分かり、それがまた原動力となって、自分をコントロールする力をつけていくことができます。しかし、何の対策もしないでいると当人も周りの友だちもストレスがかかり、みんなで楽しく遊ぶことが困難になってきます。特にルール違反や順番抜かしが続くと、周りの友だちから「ずるい」「わがまま」といったことばで非難されてしまい、孤立していく流れができていきます。
実際に小学校で勤めていた頃、A君という、ルールを守ることが苦手な小学校3年生の男の子がいました。集団で遊ぶ時も、自分が不利になりたくないために自分ルールを作り、みんなと同じルールには従わなかったり、自分の思い通りにならなければパニックを起こしたりする行動が目立ちました。当然周りの友だちはその子と一緒に遊んでも楽しくありません。「A君と遊んでも楽しくないから嫌だ」と言われ、A君も「別に遊んでもらわなくてもいい」と意固地になり、教室で一人本を読んだり絵を描いたりして過ごすようになりました。
ところが、これではいけないと、子どもたちの遊びの中にできるだけ教師が入るようにし、確認→実践→評価を繰り返していったことで、A君は適切な行動がとれるようになっていきました。周りの友だちもA君のことを認めはじめ、トラブルも激減しました。3年生の後半頃には、「勉強は嫌いだけど、友だちと遊びたいから学校来てるねん!」とにかっと笑いながら言い、休み時間には自分からボールを持って友だちを誘い、元気に外で走り回る子になりました。
このように、発達障害というのは、周りの働きかけによって、良くも悪くも本当に変化していきます。その子が何に困っているのか、どうすればその困り感を減らすことができるのかを一人ひとりと向き合い実践していくことが本当に大切だと日々感じています。