発達障害児のこんなときどうする!?「体育や運動が苦手」①
発達障害児の、こんなときどうする?コーナーです。このコーナーでは、具体的なお悩みを元に、発達障害児の理解の仕方や、支援方法などをまとめていきます。
今回は、「体育や運動が苦手な発達障害児」に対する支援方法についてです。
発達障害がある子どもは、運動がとても苦手な子どもがいます。体の使い方が明らかにぎこちなかったり、手足の協調がとれていなかったりするため、運動に苦手意識を持ちがちで、徐々に運動するのを嫌がるようになり体育も見学したいと訴え始めます。
このような発達障害児の体育や運動問題には、どのように対処していったらいいのでしょうか。
体育や運動が苦手な原因
発達障害児の中には、明らかに周りの友だちと同じような動きができず、運動や体育に苦手意識を持っている子どもがいます。特に、縄跳びや、ボール運動が苦手だったり、音楽やリズムに合わせて体を動かすことが苦手だったり、動き方もぎこちないことが多いです。この原因はいくつかあります。
①ボディイメージが弱い
発達障害の特徴としてあげられる、感覚の鈍さが原因で、ボディイメージが弱く、思ったように体を動かすことができないことが原因となっているケースです。
「ボディイメージ」とは自分の体や部位や動きを意識する力のことです。このボディイメージが弱いと、体のどこを今動かしているかといったことや、体のどこを今触られているかということがすぐに分からないことがあります。
このようなボディイメージの弱さから、「こう体を動かしたい」と子どもが思っていても、上手に体を動かすことができないため、運動の苦手感につながります。
②筋肉の緊張・弛緩のコントロールができない
指先や腕、足などに力を入れたり、逆に力を抜いたりというコントロールがうまくできず、姿勢がすぐに崩れてしまったり、スムーズな動きができなかったりします。また、いつも筋肉が緊張状態にある子どもは、力を抜くことができず、すぐに疲れてしまうことがあります。
これは、筋力が弱かったり、緊張と弛緩のコントロールが苦手なことが原因で、動きがぎくしゃくしたり、疲れやすくなる原因です。
③人の動きを見てまねるのが苦手
先生や友だちの動作を見て、それを自分でまねることがが苦手な子どももいます。視覚で捉えた情報を自分の体に置き換えて再現することが難しく、「このポーズしてみて」と言われても、できないことがあります。
「体育や運動が苦手な発達障害児」に対する支援方法
①できないことを責めない
自分ができないことや、他の子どもと違うことは、自分が一番よく分かっています。一生懸命頑張っているのに、「どうしてできないんだ」「やる気がないんだろう」と責められると、子どもはますます劣等感を感じ、「どうせ自分はできない」と練習の意欲もなくなっていきます。
頑張っている事実を認め、励ましてあげることが必要です。
②一人で練習させるよりも指導が必要
むやみに練習時間を確保するだけでは、できるようになりません。特に発達障害をもっている子どもは、自分で自分の体を思い通りに動かすことが苦手なので、どこをどう直せばできるようになるかも分かっていないケースが多いです。苦手な部分をカバーするような練習が必要となるため、大人と一緒に考えながら練習する必要があります。
③できそうなことからスモールステップで
到達目標を下げることで、「できた!」という体験を多く経験させてあげるようにします。縄跳びの跳ぶ回数を減らしたり、ボールが投げられない場合は、ボールを転がすというところからスタートしたり、簡単な課題から徐々にスモールステップを踏めるように段階を設定してあげると、意欲を持ち続けることができるでしょう。
④楽しく運動ができる機会を増やそう
できないことを克服するための「特訓」や「トレーニング」ではなく、楽しんで体を動かせる機会をおおく作ってあげましょう。そうすることで、発達障害があっても子どもは徐々に体の使い方を学んでいきます。
家族でアスレチックに遊びにいったり、公園で追いかけっこをするだけでもかまいません。子どもが笑顔で「運動って楽しいんだ」「体を動かすことは楽しいことだ」と感じられることが一番です。
上手か下手かに関係なく、体を動かすことは楽しいし、もやもやした気分も発散されるという感覚を味あわせてあげることが、将来のためにも大切です。