発達障害児にもお手伝いを①〜家庭でできる支援〜
家庭でできる支援は多くありますが、最も優れた支援、指導方法は「お手伝い」だと思います。なぜなら、お手伝いは具体的で繰り返し行えることが多く、成果が見えやすいです。誰かのために役立つという他者へ向けた行動でもあるので、自己肯定感を育てるためにも有効です。
発達障害を持っているし、大人がしてしまった方が早いから。という理由で、お手伝いをさせない保護者もいますが、お手伝いこそ子どもにとってとても良い経験となり学習となるのです。将来大人になっても、必要なスキルです。
今回は発達障害を持っている子どもに対しておすすめのお手伝いについてまとめます。
お手伝いの効果
- 達成感を感じることができる
- 他者の役に立つという経験を通して自己肯定感が高まる
- 責任感を持って仕事をする→将来の仕事へのステップ
このように、お手伝いをさせることで様々なメリットがあることが分かります。お手伝いを習慣化するコツは、子どもの年齢や発達段階にあわせたお手伝いの内容や時間などを工夫することです。また、作業の手順も具体的に示したり、手順を視覚的に見えるように書いておくなどの支援を行うことで、スムーズにお手伝いができるでしょう。
子どもの特性にあわせ、楽しみながらチャレンジできるお手伝いをさせることが大切です。楽しんでチャレンジを続けることで達成感を感じ、「ありがとう。助かったよ。」と褒められることで、自己肯定感を育むことができます。そして、その経験を積み重ねることで、責任感を持って仕事をする楽しさにも気付くことができるでしょう。
粗大運動を取り入れたお手伝い
体の動きがぎこちない子どもや、腕力や筋力をつけたい子ども、体を動かすのが好きな活発な子どもに向いているお手伝いです。
①お風呂掃除
ブラシに洗剤をつけて力を入れてこすります。水遊びにならないように時間を決め、時々確認するようにしましょう。
具体的な作業方法として、①ぶらしに洗剤をつける。②はしから五回ずつ上下にこする。③水で洗剤を流す。といったパターンを決めておくとスムーズに行えるケースもあります。
②新聞や雑誌の整理
新聞や雑誌を揃えて重ね、紐で縛って所定の位置まで運びます。紐の結び方など丁寧に教えましょう。
③窓ふき
上から下まで大きく腕を左右に動かす練習です。汚れた窓の掃除だと成果が分かりやすく、達成感につながります。冬の結露を拭き取るお手伝いもいいですね。
④ぞうきんがけ
ぞうきんしぼりは、手首をひねる動きをマスターするのに最適です。四つん這いでのぞうきんがけは、手足の筋力アップにつながります。大人と一緒に楽しみながら取り組むのもいいですね。
⑤荷物運び
買い物に行った際に荷物を持ってもらいましょう。「力持ちだね!」などといった言葉がけでやる気を持ってくれる場合もありますが、そうではないときは、じゃんけんして負けた方が次の電信柱まで荷物を持つといったゲーム制を取り入れると面白いですよ。
微細運動・目と手の協応・視覚認知を意識したお手伝い
細かい運動を取り入れたお手伝いです。絵や文字を書くためにも必要な能力です。長い時間集中することが苦手な子どもには、時間制限をもうけたり、「ここまでやったら終わり」と視覚的に終わりが分かるように工夫すると、やる気を持って取り組むことができるでしょう。
①お米研ぎ・野菜ちぎり
お米研ぎは手首をひねる練習になります。野菜ちぎりでは、レタスやキャベツをサラダ用にちぎる、枝豆を枝からちぎる、枝豆の豆を出す、ミニトマトやイチゴのへたを取る、こんにゃくをちぎるなど、包丁を使わなくても手伝えることがたくさんあります。
かにかまぼこやチーズをほぐしたり裂いたりするのも、手先のいい練習になります。
②食材を混ぜる
卵や納豆、ホットケーキミックスなどを箸や泡立て器で手首を使って混ぜます。中身をこぼしたり飛ばしたりしないような力加減の練習にもなります。
③テーブルセッティング
箸や食器の置くべき場所や向きを確認して配膳させます。
④うちわであおぐ
酢飯を作るときや夏場に大活躍します。手首が鍛えられ、鉛筆を持つ手がしっかりします。うちわの持ち方も初めに教えましょう。
⑤洗濯物をたたむ
指や手でしわを伸ばしながらたたむことを教えます。学校生活でも着替えのときに自分の服をたためるといいですね。
このようにたくさんのお手伝いがあります。次の記事では、ワーキングメモリーを意識したお手伝いを紹介したいと思います。