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個別学習塾・元小学校教諭・発達障害教育・二児ママの記録帳 〜人生は楽しんだもん勝ちだ〜

発達障害とはどのような障害なのか?原因は?

発達障害の代表的なものとして、LD(学習障害)・ADHD注意欠陥多動性障害)・ASD自閉症スペクトラム)があり、それぞれの特性があることは以前簡単に説明しました。

では、そういった発達障害のそもそもの原因はどこにあるのでしょうか。発達障害とは一体どのような障害なのでしょうか。

発達障害は、脳(中枢神経系)の機能障害

脳

私たちの脳には、140個以上の神経細胞があり、ひとつひとつの神経細胞から、隣接する別の神経細胞に情報を伝達し、その神経細胞がまた別の神経細胞に情報を伝えるといった形で、巨大な神経ネットワークが構築されています。

そのルートは無数にあり、感情や思考、判断、記憶、運動などの多様で複雑な神経活動を支えています。私たちが何かの動作をしたり、考えたり、感じたりする活動は、全てこの神経ネットワークでの情報伝達によって成り立っており、こうした脳の働きを脳機能といいます。

また、ある場面において、どの情報を選択したらいいかを判断したり、インプットされた情報に対してふさわしい行動や反応をとるよう自分をコントロールしたりする脳の働きを「実行機能」といいます。これが発達障害のそもそもの原因につながるものです。

実行機能に問題が?

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発達障害児が困難さを感じる「実行機能」とは?

具体的な例としては、遊びの場面で「順番を守る」ということは基本的なルールになります。その情報は知っており、理解もできています。大縄跳びで遊ぶときでも、「順番を守る」というルールは分かっているため、いくら早く跳びたくても、我慢して「並んで待つ」ということができます。このように「早く跳びたい」といった自分の気持ちをコントロールして、「並んで待つ」といった判断をする脳の働きが「実行機能」です。

ところが、発達障害の脳は、この自分の気持ちをコントロールすることが苦手です。「早く跳びたい」と思ったら我慢できずに、順番を抜かして跳びにいってしまう、「早くいけ」と前の子の背中を押してしまうなどといった問題行動につながります。

このように、発達障害の場合、なんらかの理由で、脳のさまざまな「実行機能」の働き方が、ふつうの子どもたちとは異なってしまうために、周囲の人にには理解できないような振る舞いをすることがあります。

そして、その行動は周囲の人から見ると、理解しにくく、「変な子」として認識されます。また、発達障害は、外から見ても普通の子どもと何も変わらない場合が多いため、「どうして当たり前の行動ができないんだろう」といった疑問や不審を周囲の子に抱かせることになってしまいます。

大人の介入が大切

発達障害 大人の介入こういったことが大人の介入なしに続いてしまうと、「あの子とは遊びたくない・関わりたくない」となってしまい、発達障害の子が孤立してしまうことが多くあります。そういったことが起こる前に、周囲の大人が異変に気づき対策をすることが大切です。以前も書きましたが、行動特性は、本人の発達や周りからの働き方によって変化します。この変化とは、良い方向にも悪い方向にも変化するということです。

「困った子」と大人が思っている子は、もしかした「困っている子」かもしれません。「こういうときはこうするといいんだよ」ということを教え、練習していくことで、少しずつ問題行動は少なくなっていきます。こういった社会性のトレーニングを「ソーシャルスキルトレーニング」と言います。反対に、非難や叱責を繰り返していると、子どもは自信を失い、自尊感情を傷付け、やがて、理解のない大人たちに対する反発心や反抗心を膨らませていきます。(二次障害)

今回は、発達障害の原因についてみていきました。原因となる脳の機能障害を根本的に治すことは難しいですが、適切な行動を少しずつ練習していくことはできます。様々なソーシャルスキルトレーニングの方法があるので、少しずつ紹介していきたいと思います。