発達障害の二次障害とは?予防できるの?治療法は?
発達障害は、放置したり、不適切な対応を繰り返していくと、二次的に別の障害や疾患を引き起こすことがあります。これを、発達障害の二次障害といいます。今回は、この二次障害について詳しくみていきますね。
二次障害の起こるプロセス
①発達障害の特性により生じる失敗・トラブル
②周囲の大人たちの無理解・非難・叱責「困った子ね」「努力不足だ」
③自信喪失・無力感・意欲の喪失「頑張っても無駄・・・」
④周囲の大人たちへの反抗心
⑤反抗挑戦性障害や行為障害へのリスクが高まる
反抗挑戦性障害とは?行為障害とは?
反抗挑戦性障害とは、大人の指示や要求に対して、わざと無視したり、逆らったり、大人をいらだたせることをしたり、挑発的な態度をとったりする状態のことです。
アメリカ精神医学会では、次のように定義されています。
少なくとも6ヶ月以上持続する、拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下の4つ(またはそれ以上)が存在する。
しばしばかんしゃくを起こす・しばしば大人と口論する・しばしば大人の要求または規則に従うことを積極的に反抗または拒否する・しばしば恋に他人をいらだたせる・しばしば自分の失敗、無作法なふるまいを他人のせいにする・しばしば神経過敏または他人からいらいらさせられやすい・しばしば起こり、腹を立てる・しばしば意地悪で執念深い
この反抗挑戦性障害がさらにエスカレートすると、暴力を振るったり、破壊行為を起こしたりする行為障害へといたります。
強迫性障害や鬱病になることも
発達障害の特性を周囲から理解されず、ストレスを抱えた状態が続くと、精神状態が不安定になったり、気分が落ち込んだりするようになります。その結果、次のような心の病を引き起こしてしまう可能性もあります。
①不安障害・・・過度な不安や心配のあまり、不眠や体調不良を起こし、日常生活に支障をきたす障害のことです。社会不安障害やパニック障害などがあります。
②強迫性障害・・・自分でも無意味とわかっている一定の考え(強迫観念)にとらわれて、それをかいしょうしようとする行動(脅迫行為)を繰り返し行い、やめられなくなる障害のことです。自閉症スペクトラムの人は、もともと強いこだわりや常同行動がみられることがあり、その特性とも似ているため、強迫性障害との混同も起こりやすいです。
③鬱病・・・気分が落ち込み、意欲の減退、興味や関心の喪失などが起こる病気です。海外のデータでは、ADHDの45%が鬱病になるというデータも報告されています。
二次障害の予防法は?
このような二次障害を予防するためには、発達障害の早期発見・正しい理解・適切な支援が大切です。子どもが心身を安定させて日常生活を送ることができ、意欲や関心を向けられる対象を見つけて自信を持ち続けられれば、二次障害を引き起こすことはありません。
二次障害の治療法は?
発達障害の二次障害になってしまったら、治療はできるのでしょうか。
実は、発達障害の二次障害の治療は難しく、時間がかかることが予想されます。なぜなら、発達障害と二次障害の症状は複雑に絡み合っており、紐解くことが簡単ではないからです。
二次障害を引き起こしてしまうことがないように、周囲の大人の適切な理解や支援をできるだけ早い段階からしていくことがとても大切なのです。