ADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴・行動特性
今回はADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴や行動特性についてまとめていきます。ADHDとは、自分自身をうまく制御できないことで原因が生じるものです。これは、実行機能の問題とも言えます。
実行機能がうまく働かないと、注意を向けなければならない対象に自分の注意を向けることができない、ある衝動がわき起こったときに一度立ち止まって考えることができずにすぐに行動してしまう、今自分が何をしなければならないのかということを意識し続けることができない、忘れてはならないことを記憶にとどめておくことができない、といった問題が起こります。
また、我慢ができなかったり、衝動を抑えることができなかったりすることで、「わがままな子」「乱暴な子」といった誤解を受けやすく、友だち関係をうまく築くことができないケースもあります。
ADHDの特徴・行動特性
①忘れ物や無くしものが多い
宿題や提出物を忘れることが多いです。また、友だちと遊ぶ約束を忘れてしまい、待ち合わせ場所に行きそびれてしまうというケースもあります。鍵や財布などの大切な物をなくしてしまうこともあり、物の管理に問題があることも多いです。
②集中ができない
集中力を維持させることが難しいというのも、ADHDの行動特性の一つです。話を最後まで集中して聞くことができないため、指示の内容も分かっていないことも多いです。授業中も集中が続かないため、授業内容の理解も深まらず、学業にも影響が出てくる傾向があります。
③注意力が散漫
自分の注意を向けるべきことに対して注意を向け続けることが苦手です。ほかの刺激があると、すぐにそちらに向いてしまいます。授業中に、廊下から聞こえてくる声が気になって先生の指示を聞いていなかったり、窓ぎわの席から、ほかのクラスが運動場で体育をしているのが見えると、そちらの方に注意が向いてしまいます。自力では注意を授業に戻すことが難しく、様々な刺激に敏感に反応して注意があちこちに散ってしまうので、なかなか授業に集中できません。
④落ち着きがない
じっとしておくことが苦手で、常に体のどこかが動いていることがあります。机や椅子をがたがた動かしたり、体を揺すったり、手足をごそごそ動かしていたりします。また、「体の多動」だけではなく、「口の多動」が目立つ子どももいます。このような子はおしゃべりがやめられず、静かにしていなければならない場面であっても、ついしゃべってしまいます。
⑤考えてから行動できない
衝動性の高いADHDの場合、「行動する前に一度立ち止まって考える」ということが苦手です。思い立ったら考えるまでもなくすぐに行動してしまうので、失敗が多くなります。授業中に発言する場合も、「手を挙げる」という行動をしなければならないと考える前に、口が先にうごいてしまうケースがあります。
⑥順番を待つことが苦手
不注意や衝動性が原因で、順番を待つことが苦手な子どもが多いです。みんなが並んで待っているということが見えていなかったり、「並んで順番を待っている」こと自体を忘れてしまうことが原因だと思われます。
⑦かんしゃくを起こしやすい
自分の意見が通らなかったり、思い通りにならなかったりすると、大声を上げて泣き叫んだり、暴れたりして、怒りをぶつけます。これは、実行機能の一つである自制心が不十分なためにみられる行動特性であるといえます。
⑧事故にあいやすい
注意力が散漫で、落ち着きなく動き回り、衝動的に危険な行動をとりがちなので、事故にあいやすいことがわかっています。事故にあった時のけがの程度も、普通の子どもと比べて重くなる傾向があります。
このような特徴を持つADHDですが、いろいろな場面で自分の思い優先に行動してしまい、自制することが難しいため、友だち関係にもトラブルがつきものです。自分は我慢しているのにあの子は全然我慢しない、ずるい!といった非難の対象になることも多いため、出来るだけ大人が注意して子ども間の人間関係についてみておくことが必要になります。