ADHDの投薬・薬物療法について。効果は?体への影響は?
今回はADHDの治療として行われる薬物療法について詳しくみていきたいと思います。
「ADHDの治療にお薬を使う」と初めて聞くと、不安に感じたり、嫌だと思ったりする保護者の方は多いです。
以前の職場でも「薬は使いたくない・・・」と拒否している保護者の方もいました。
ではそういったときに参考になるように、薬の種類や薬の効果、いつまで飲み続ければいいのかなど詳しく調べてみました。
薬の種類
コンサータ(一般名はメチルフェニデート)や、ストラテラ(一般名はアトモキセチン)という薬が有名です。ADHD特有の脳の働きを改善させることはできませんが、薬が効いている間は、ADHDの行動特性である多動性や衝動性などの症状は抑えることができます。
薬の効果
効果は劇的で、服用したADHDの人の8割の患者が薬を服用すると集中することができたり、落ち着いて行動できるようになることが分かっています。
「薬」と聞くと、不安を感じられる方も多いですが、薬を使うメリットもあります。
一つは、服用した方が落ちついて適応行動がとれるので、褒められる機会が多くなり、自信をもつことができることで、二次障害を引き起こしにくいことが分かっています。ADHDの子どもは、なかなか自制心がきかずに我慢ができなかったり、衝動的に動いてしまうことで叱られることが多いです。本人も落ち着いて行動したいのに、体が勝手に動いてしまい怒られる。といったサイクルが続くと、二次障害になってしまうケースがあります。
二つ目は、服用することで集中力が増す、忘れ物が減る、考えてから行動できるようになるなど、具体的にできることが増えます。自分の状態が良くなることで、生活の困難が減り、学習成果が上がったり、友人関係も好転したりすることもあります。
薬の副作用
安全な薬とされていますが、人によっては副作用が出る場合もあります。頭痛や腹痛、食欲不振、不眠などが症状として報告されています。通常はそれほど強く現れることはありませんが、もし万が一副作用が現れた場合は、直ちに服用を止め、医師に相談してください。
一生服用し続けないとダメ?
薬を飲むと集中力が増し、薬の効果が切れるともとの状態に戻ってしまいます。それは、ADHDの脳自体を治療することは難しいからです。
ということは、一生薬を服用し続けなければならないのかというと、そんなことはありません!成長とともに次第に薬がなくても自分で感情や行動を抑制することができるようになるケースがほとんどです。
最後に
このように、副作用は少し気になりますが、薬を使うメリットも十分にあると思います。10歳前後になってくると、子どもは自分の体の状態も分かるようになってくるので、本人と相談しながら決めていくのもいいのではないでしょうか。
以前勤めていた小学校の子どもの中には、薬を飲み始めたことがきっかけでできることが増え、自己肯定感の高まりを感じられたケースもありました。「頑張ったらできるんだ!」「自分はだめな子じゃないんだ!」そう子どもが思えるきっかけをたくさん作ってあげることで、様々なことに挑戦できるようになり、子ども可能性も広がります。
「薬で治療する」というよりは「薬をうまく利用する」といった形が理想ですね!